「クープランの墓」は、ラヴェル最後のピアノ独奏曲で「プレリュード」「フーガ」「フォルラーヌ」「リゴードン」「メヌエット」「トッカータ」の6曲から成っている。
このクラリネット4重奏への編曲では、ラヴェル自身がオーケストレーションしたものに倣い、「プレリュード」「フォルラーヌ」「メヌエット」「リゴードン」の4曲を抜粋した。
ラヴェルの音楽には「スイスの時計職人」とイゴール・ストラヴィンスキーが評したように、精密機械のごとく完璧に計算されたその構造の中に大胆な和声で彩られた様々な伝統的な形式をモデルにしたテクスチャーが織込まれている。
第一次世界大戦が起こり空軍のパイロットとして軍隊入りを志願したラヴェルだったが、小柄な体格を理由に拒否された。それでも愛国心の強いラヴェルはトラック運転手として前線に赴いた。入隊により一時作曲が中断された「クープランの墓」は、除隊後完成され、それぞれの曲は戦死した友人たちに捧げられた。
ソナタ形式やバロックなど多くの先人が残した形式を用いたラヴェルは、「クープランの墓」において18世紀の作曲家フランソワ・クープランのクラブサンの作品を研究し模倣することによって18世紀のスタイルを称賛するような古典風の美しい作品を作り上げた。
Comments